相棒4第4話「密やかな連続殺人」ネタバレ ウィンパティオの意味

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相棒season4相棒シリーズ

相棒4第4話「密やかな連続殺人」ネタバレ

相棒シーズン4第4話「密やかな連続殺人」基本情報
放送日サブタイトル脚本監督視聴率
2005/11/02密やかな連続殺人砂本量
瀬巻亮犬
和泉聖治14.8%

© テレビ朝日/東映

公式風あらすじ(ネタバレなし)

謎のことば “Vim Patior”(ウィムパティオル)をくり返しつぶやく男(小日向文世)。 古めかしい洋書の怪しげな挿絵や不気味な人物のイメージが、男の頭の中で渦巻いていた。 この男はいったい誰なのか。

愛犬ジュンを散歩させていた女性(飯口美穂)が、川岸に流れついた死体を発見した。 被害者はOLの日高鮎子(堤幸恵)、腹部を刺されたあと荒川に遺棄されたらしい。 なぜか片方だけピアスが外れていた。

「つまらない思いつきなんですけど」
と断りを入れてから亀山(寺脇康文)が、右京(水谷豊)に意見した。 激しく川を流されても暴行されてもピアスが外れる可能性は低い。 もしかすると犯人が持ち去ったのではないか? 理由はわからないが、と。 右京は自分も同じことを考えていたと打ち明ける。
「しかし君がそこまで考えるからには、何かヒントがあると思うのですが」
図星をつかれた亀山は、元刑事の佐古秀樹(山崎一)から譲りうけた被害者のピアスをみせた。

今回と同じく、片方のピアスだけが残されていた事件の類似性から、二人はその事件を追う。 捜査資料によると、13年前の1992年に発生した舎人中央公園OL殺人事件、被害者の名は小野塚秀子とあった。

<ここから先はネタバレを含みます!>


相棒4第4話「密やかな連続殺人」ネタバレ

相棒シーズン4第4話「密やかな連続殺人」ネタバレ
被害者手口犯人
日高鮎子刺殺して荒川に遺棄
小野塚秀子扼殺(13年前の事件)村木重雄
過去の6件の殺人村木重雄
過去の2件の殺人

?の犯人は第5話で明かされます。

相棒シーズン4第4話「密やかな連続殺人」ゲスト
役名キャスト説明
内田美咲奥貫薫精神科医
村木順子山下容莉枝村木重雄の妻
安斉直太郎高橋一生美咲の助手
佐古秀樹山崎一屋台の亭主 元刑事
飯口美穂荒川事件の第一発見者
大塚太心13年前の事件の
第一発見者
門脇亨捜査会議で発言した刑事
土井美里
日高鮎子堤幸恵荒川事件の被害者
中野寛海
村木重雄小日向文世連続殺人犯

相棒4第4話「密やかな連続殺人」ネタバレ あらすじ

13年ぶりに犯人が動きだしたのではなく、まだ認知されていない事件があるとふんだ右京。 亀山が全国の警察に問い合わせ、若い女性が殺害され片耳だけピアスが残った未解決事件の有無をきく。 結果、以下の10件が判明した。

1981年、大阪、扼殺
1983年、北海道、刺殺
1987年、広島、毒殺
1989年、宮城、刺殺
1992年、東京、絞殺
1996年、千葉、毒殺
1998年、長野、絞殺
2001年、福岡、溺死
2004年、京都、扼殺
2005年、東京、刺殺

日本の警察には全国の犯罪情報を集中管理するシステムがないために、片耳だけピアスを残すという類似点がありながらも、都道府県をまたいだ手口の異なる殺人を、同一犯と見破ることは不可能だった。

刑事部長(片桐竜次)にその可能性を述べ、報告義務を果たした特命は、いつもどおり独自に捜査をはじめる。

とっかかりにえらんだのは、13年前の事件の重要参考人・村木重雄(小日向文世)。 現場の目撃証言から浮上し、下足(ゲソ)痕まで一致したが、ほかにも同じ靴の使用者がいたため不起訴となっていた。 住所を訪ねると…

玄関から転がるように飛びだしてきた村木。 手首から血を流している。 先行した伊丹(川原和久)たちが気づいたときには、カミソリを手にしていたという。

病院にかけつけた村木の妻・順子(山下容莉枝)が、夫の顔をみるなり殴りかかる。
「死ねるもんなら死んでみなさいよ! 死ねないくせに」
さんざん暴行をくわえ罵倒したあとに、やさしく声をかけた。
「さあ、帰りましょ」
順子の左耳たぶの異常に気づいた右京。 爛れたようなその耳たぶでは、ピアスはつけられないと思われた。

順子と同行してきた安斉直太郎(高橋一生)が助手をつとめる、村木を担当する精神科医・内田美咲(奥貫薫)に面会を申し入れる。

村木は5年前にバイクに轢かれ、足が不自由になったらしい。

精神科医・美咲の専門が犯罪心理学と知り、右京が質問した。
「何十年にもわたって日本各地で若い女性を殺害しつづけ、同一犯だと気づかれないように、そのたびに手口を変える。 かといって性的暴行はしない。 そんな連続殺人犯がいたとしたら、どういう人物でしょうか?」
データが少なすぎるがと前置きしてから、美咲はプロファイリングを披露した。

<美咲による犯人像>
  1. 生理的特徴
    犯人は男性。 性的能力に関し、異性から侮辱された経験がある。 普段はおとなしくて真面目なタイプ。 隣のデスクにいても誰も殺人犯だなんて思わない。 自己顕示欲が強ければ墓穴を掘り、何十年も犯行をつづけることは不可能。
  2. 社会的特徴
    犯人は出張あるいは転勤の多い職業についている。 仕事先で犯行を重ねている可能性が高い。 ロシアで52人を殺した連続殺人犯も出張を利用していた。
  3. 手口的特徴
    犯人は自分にしかわからない印を残すか、あるいは記念品を持ち去っているはず。

「持ち去ったのがピアスだとしたらどうでしょう?」
「大きな意味を持つことになるわ、征服を意味するからよ」

その昔ピアスは、悪霊が耳から入り込むのを防ぐためにつけられた。 それを外すことは、象徴的に相手を征服することになる。 支配と隷属、村木夫妻にふさわしいキーワードだった。

角田課長から大手の予備校の人気講師ともなると、飛行機の回数券をもって全国を飛び回っているときかされ、右京が動く。

村木が働いていた明新ゼミナールで勤務履歴を照会した特命係。 過去の4件について場所と日付が一致した。

米沢から連絡。 荒川事件の殺害遺棄現場が特定された。 埼玉県の某所、橋の上に残された大量の血痕。 そこから川へ被害者を投げ落としたようだ。 からだの不自由な村木には不可能と思われる。 妻・順子は共犯なのか?

特命は順子の会社を訪ね、過去7件の事件について状況証拠をつきつけた。 荒川事件当日のアリバイをきくが、順子はイヤミをいうばかり。 そんな中、村木から電話がかかってくる。
「警察がきた。 帰ってきてくれ」
「警察が家にきてるって、どういうことよ!」
慌てる順子を、特命が送る。

家宅捜索する捜一。 アクセサリーボックスからピアスがみつかる。 持参した証拠写真のうちの7点と確認された。

こっそりと部屋をぬけだし、エレベーターに乗った村木。 気づいた伊丹たちが追うが、すでに村木は屋上のかどに立っていた。
「私はつかまらない。 Vim Patior(ウィムパティオル)…」

<村木の主張>
10件ぜんぶ、私がやった。

お前たちには、絶対にわからないだろうな。
我々のような人間の存在は。
Vim Patior(ウィムパティオル)…
「あなた!」
順子、お前は褒めてくれるだろう?
「いかないで、私たち死ぬまで一緒でしょ?」
約束を守れないのは残念だが、時間が来たようだ。
来るな!
くり返すが、お前たちに私は裁けない。
私は善悪を超えた存在なのだ。

「つかまるぐらいなら、自分で終わりにしてやる」
雷鳴がとどろく中、腕を左右にひろげた村木が宙に舞う。 13とかかれた駐車スペースに倒れた村木のからだから血が流れでる。 その跡はまるで悪魔の翼のようだった。(第5話につづく)

まとめ

性のように人を殺したい衝動にかられる村木重雄が、日本の警察機関の盲点(複数の都道府県にまたがる広域犯罪を統括する機関がない)をついて起こした事件。

暴力的で夫を服従させているかに思えた村木の妻・順子が、飛び降りようとする村木に語りかけた、(置いて)いかないで。 二人の真実の関係が垣間見えた瞬間でした。 片耳ピアス事件10件すべて自分がやったと認めた村木でしたが、お話は第5話に続きます。

相棒4第5話「悪魔の囁き」ネタバレ 不倫する高橋一生
おでんの屋台を訪れ、元刑事の佐古に事件の顛末をつたえる亀山。右京が尋ねた。「ほんとうに村木さんが、残り3件で手を下したと思いますか?」たしかに村木は10件ぜんぶ自分がやったと自白した。しかし部屋にあったピアスは7点。「じゃあ右京さんは、残りの3点は別人がやったと思ってるんですか?」「はい」
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相棒4第4話「密やかな連続殺人」みどころ

Vim Patior(ウィムパティオル)その1

謎の呪文 “ウィンパティオ” は、旧約聖書のイザヤ書38章14節にでてくることば。 ラテン語です。

Sicut pullus hirundinis, sic clamabo; meditabor ut columba. Attenuati sunt oculi mei, suspicientes in excelsum. Domine, vim patior: responde pro me.(出典:Bible Gateway

口語訳も引用しておきます。

わたしは、つばめのように、つるのように鳴き、はとのようにうめき、わが目は上を見て衰える。主よ、わたしは、しえたげられています。どうか、わたしの保証人となってください。(出典:Wikisource

「しえたげる」は「しいたげる」の元の形

村木は何に虐げられているというのか…
妻か、それとも不特定の人間か、ひょっとすると自分自身か。

社会に暗黙に存在する、理性的な行動をもとめる規範意識が、村木のような特異な人格にとっては耐え難い枷となり、あらわれた感情のように思えますね。(Vim Patior その2

ウソをつくとき丁寧語になる

「薫ちゃんてさあ、ウソをつくとき丁寧語になるって知ってた?」
美和子の指摘に、そんなことないですよと、これまた丁寧語で返した亀山。

予備校には縁がなかった

亀山「村木は人気予備校講師だったらしいですよ。 年収なんと5千万!」
右京「そんなに高給が取れるものなのですか?」
角田「警部殿、知らないの?」
右京「予備校には縁がなかったもので」
角田「するっと言っちまうところが、これまた小憎らしいよね」

こんなやりとりしてますけど、角田課長を演ずる山西惇は京都大学卒ですから! 東大寺学園高校からの京都大学ってエリート街道ですよ?

伊丹のあの顔みました?気持ちいいなあ

村木の勤務履歴照会で後れをとった伊丹に対し、亀山がいったことば。

しかし、なんでそこまでいがみあうんでしょうか。 事件解決が警察の使命なのに、反目しあう基本姿勢は捜査の妨げ。 出世とは無関係でも、中二病的に手柄争いしたいのかなあ。

高所恐怖症の米沢さん

荒川事件の殺害遺棄現場である橋は、川面から十メートルは離れた高所にかけられていた。 目が回る、と欄干につかまる米沢さん(笑)。

たいがいの話題で活躍できる米沢さんにも、(妻以外の)弱点があったんですねぇ。

天才脚本家・砂本量

相棒シーズン4第4話・第5話の脚本は砂本量(連名の瀬巻亮犬は、須藤泰司の別名義で脚本を補筆)。 この1つのエピソードだけで、もう天才と称されていいと思う。 全体にただよう猟奇的な、精神を蝕んでいきそうな雰囲気。 n4v&rec 的には、相棒シリーズ屈指のエピソードです。

砂本氏が40代の若さで亡くなったことを、とても残念に思います。

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